入学前から地元・京都大原の特産品であるシソの研究を通して、地域活性化に貢献したいと考えていた中村優斗さん(工学部環境科学科※4年)。本学への入学後、早速「地域活動プロジェクト1・2」の授業で「大原シソプロジェクト」を立ち上げました。
プロジェクトでは、同学科 齊藤安貴子教授、工学部電気電子工学科 民田太一郎教授の指導のもと、パルス電界処理を用いた「シソジュース」の改良に挑戦。テクノアイデアコンテスト「テクノ愛2023」では奨励賞を受賞しました。オープンキャンパスでは、地元のシソを使った琥珀糖を配布するなど、地域への想いを形にしています。
今回、中村さんに地元への想いや研究への取り組みについて伺いました。
―なぜ町おこしに取り組もうと思ったのですか?
中村さん:もともと、「観光以外の京都の産業を盛り上げたい」という思いがありました。生まれ育った大原のシソを活かして地域の役に立ちたいと考えていたところ、本学のオープンキャンパスで齊藤先生から学生主体のプロジェクトが盛んなことを伺い、「ここでシソの研究をしたい」と環境科学科を志望しました。
―「地域活動プロジェクト1・2」ではどのような活動をしましたか?
中村さん:京都大原の特産「シソ」を原材料とした「シソジュース」を新たな技術の活用で改良し、地域活性化につなげることを目的に活動しました。1年目は、民田先生の指導のもと、パルス電界処理によってシソの葉に小さな穴をたくさん開けることで、成分を効率的に抽出することができました。2年目はシソを使ったお菓子づくりに挑戦し、その中からシソを使った日本の伝統的な和菓子「琥珀糖」が生まれました。オープンキャンパスで配布し、多くの方に好評をいただきました。
―授業から「テクノ愛2023」への出場とつながりましたが、どうでしたか?
中村さん:「テクノ愛」は技術に関する幅広いアイデアを募集するコンテストで、まさか自分たちが最終審査まで進めるとは思っていませんでした。最終審査会のプレゼンテーションを終えて奨励賞をいただいたときは、自分たちの研究がちゃんと評価されたんだと実感できました。
.jpg)
―現在はどのような研究を行っていますか?
中村さん:齊藤研究室に所属し、シソの機能性に関する研究を続けています。
ブルーベリーなどに含まれる目の働きなどに良い作用が働くとされるポリフェノールのように、シソのポリフェノールにも健康によい作用があるのではないかと考えています。
具体的には、パルス電界処理(極めて短時間に高電圧をかけることで、細胞膜に数nm(100万分の1mm)の孔を開ける非加熱の処理方法)を用いて、シソの成分を抽出することで、従来の抽出法と違ってどのようなメリットがあるのか、大原のシソにはどのような成分が含まれているのかを研究しています。
ちなみに、研究のためのシソは近所の農家さんから苗を分けていただき、自分の畑でも育てています。
―大学生活を通じて成長できた点を教えてください
中村さん:研究を通して、先生方や商品開発でお世話になったハニコウム園芸さんなど企業の方などと関わる中で、社会人としての礼儀や立ち振る舞いを学べたことです。
また、プロジェクト活動では、チームで協力することの大切さを実感しました。
―卒業後は企業就職と聞いていますが、内定先を志望した理由を教えてください
中村さん:もともとは食品業界を志望していましたが、就職活動をしていくなかで理系学生向けの就職イベントで共立製薬株式会社と出会いました。動物の健康を守ることが、安全な食肉をつくることに繋がり、人間の健康を守ることに繋がるのではと考え志望いたしました。
―最後にこれから基礎理工学科環境化学専攻をめざす高校生にメッセージをお願いします
中村さん:高校時代から「大原のシソを研究したい」という目標はありましたが、理系科目は得意ではありませんでした。大学に入学してからも生物の研究をするなかで化学の知識が必要になる場面が多く、死に物狂いで勉強しました。
苦手な科目もありましたが、やりたいことを貫く気持ちで努力を続け、少しずつ苦手を克服しました。この経験から「やりたいことを必死で頑張っていけば、多少の苦手はいつの間にか克服できている」ということを伝えたいです。
もし、「大原シソプロジェクト」に少しでも興味をもってくれる学生さんがいたら、研究を受け継いでくだされば嬉しいです!
※2024年4月より環境科学科は基礎理工学科 環境化学専攻へ
【関連リンク】
「地域プロジェクト活動1・2」「地域ボランティア入門」の合同成果報告会を行いました
本学の学生3チームがテクノアイデアコンテスト「テクノ愛2023」最終審査で奨励賞を受賞しました
「地域プロジェクト活動1・2」の合同成果報告会を行いました